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2017年1月23日マーケティング営業

直販・直請か、それとも販売代理店経由・下請かで市場の攻め方は変わる

前回は「市場の決め方」についてお話しました。これについて少し補足します。市場とひと口に言っても、分け方はいろいろです。古典的な分け方ですと、地域で分けるというのがあります。それと業界分け。あるいは、企業規模で分ける。消費財系ですと、所得層で分けることもあります。もちろん、これらの分け方を複数、組み合わせて細分化することが一般的です。しかし、供給が需要を上回る現代では、物理的な分け方に加えて、人や企業の思考の違いによる分け方を加えることが主流となっています。人の分け方の代表例は、ライフスタイルの違いによる分け方です。企業の分け方では、問題・課題の違いや大小・強弱による分け方です。このように市場(顧客)を決めるには、まず、市場を自社なりに分類し、その上で自社が最も優位性を発揮できる市場を見つけ出すことが肝要です。そして、市場を決めたら、そこに自社の製品を売って届けるための流通経路を決めることになります。

ということで、今回は「流通経路」のお話です。

どの企業でも、すでに決まった流通経路があります。そして、決まっているがゆえにマーケティングでは、流通経路を考慮せずに計画することが多いようです。とくに生産財系(BtoB)のモノづくり(製造業)企業は、深く考えない傾向があるように思います。ですが、この流通経路の違いによってマーケティングのとるべき施策は変わってきます。当然ながら収益率にも影響しますので、マーケティングの実施では、流通経路を十分に考慮する必要があります。

そこでまず、流通経路の基本をお復習いします。

<製品の見込生産型の場合>
(直販)自社 → ユーザー
(卸経由1)自社 → 販売代理店 → ユーザー
(卸経由2)自社 → 商社(卸) → 販売代理店 → ユーザー

<製品の受注生産型の場合>
(直請)自社 ← 発注元
(二次下請)自社 ← 元請 ← 発注元
(三次下請)自社 ← 二次下請 ← 元請 ← 発注元

ざっくりと示すと以上のようになります。
ここで大事なことは、誰が顧客に営業をするのか?ということです。

直販、直請の場合は、言うまでもありません。自社の営業が、ユーザーであり発注元である顧客と商談をすることになります。ですが、間接販売、間接受注の場合は、少し勝手が違います。

前回、お話しましたマーケティングの定義にあるように、マーケティングと営業は役割が違います。

<前回の説明>
「購買可能性のある顧客層を引き寄せて自社の製品に興味を持ってもらい、商談機会を創り出す=見込客化する」までがマーケティングの役割。そして「実際に面談し、上手く製品の具体的な長所を説明し理解してもらい適正な価格で取引を成立させるとともに、その後の継続取引のための顧客管理を行う」ことが営業の役割。

まず、製品の見込生産型の場合についてご説明します。

見込生産型の間接販売では、ユーザーに製品選定の権限があります。ですので、製造元にとっての顧客はユーザーです。そして、ユーザーに対して実際に製品の販売を担うのは、販売代理店の営業です。ということは、マーケティングの役割は、販売代理店の営業に対して向けられるべきです。そして、販売代理店の営業が、自社製品を売りやすいような環境を整えることにしなければなりません。自社が良い製品をつくることに努力し、実際に良い製品をつくっても、販売代理店の営業が積極的に販売してくれない限り売れることはない。というのがその理由です。販売代理店の営業の立場になって考えてください。営業はつねに、自分の課せられている目標(実際にはノルマ)を達成することに必死です。だから、売上あるいは営業粗利さえ稼げればいいわけです。なので、売りやすい製品を積極的に売るようになります。反対に、売りにくい製品や成績(売上・粗利益)に結びつかない製品を、積極的に売ろうとは思いません。

ということで、流通経路の間に販売代理店を置いている場合のマーケティングは、販売代理店の営業が売りやすい状況をつくる、代理店営業の支援型になります。

このようなマーケティングは、消費財系では昔から採られており、自動車会社もそのひとつです。トヨタやホンダなどすべての自動車会社は、中間に系列の販売会社・ディーラーを抱えています。系列店の場合、自社のクルマ以外を販売することはないのですから、積極的な営業支援をしなくてもよさそうなもの。ですが実際には、テレビや新聞・雑誌に多額の広告を出し、販売支援策としてディーラーにチラシなどの広告支援金を支給しています。そうやって、顧客(ユーザー)がディーラー店に足を運ぶように仕向けて、売りやすい環境をつくり出しています。

私が携わった仕事にも販売代理店向けの営業支援型マーケティングの好例があります。

耐久消費財の製造・卸をしているM社は、全国の販売店を通じて製品を販売しています。このM社のWEBサイトの企画・制作を任されました。私は、企画立案にあたって、必ず経営TOPへのヒアリングと製造現場の見学をするようにしています。もちろん、ヒアリングで押さえる内容は、製品概要と対象市場、製造工程と流通経路の4項目が中心です。このヒアリングでM社の社長は、的確にマーケティング戦略とWEBサイトの意図をご説明されました。中でも、流通経路の説明では「当社が直接、消費者へ販売することは業界の慣習上できない。だからWEBサイトでは、消費者へ自社製品の良さを認知していただき、販売店で指名購入されるような仕組みを作りたい。また、当社へ購入の申込があった場合には、消費者のお住まいになる地域の販売店をご紹介し、販売店にも伝えて当社製品の良さを丁寧にご説明するよう連絡する」ということでした。

M社の社長は、間接販売におけるマーケティングの要諦をよく理解しており、実に手際よく説明されました。ということで、営業支援型WEBサイトというコンセプトのもと、私に課せられたのは、消費者への認知・理解促進と指名購入のための仕組みづくりです。このような明確なマーケティングの指針を打ち出されたことで、制作はスムーズに進められ予定の期日に公開。長期的な視点での効果を企図したものでしたが、結果は、瞬く間に目に見えるカタチで表れてきました。

以上のように、見込生産型となる完成品の間接販売におけるマーケティングは、ユーザーと直に接する販売代理店にとっての見込客を獲得することを前提に、売りやすい環境を整えることを主眼とした営業支援型になります。

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